理系研究者の書評ブログ

30代の化学系の研究者が、読んだ本の書評を書いています。

本の要約・レビュー

【ネタバレあり】小川哲『君のクイズ』考察〜主題は人生の【正答化】?!〜

小川哲さんの著書『君のクイズ』を拝読しました。 「クイズプレイヤーの思考が分かる!」 「ミステリーとしても面白い!」 など様々な感想が飛び交っています。 しかし、私は最後の一文が何故だか妙に引っかかりました。(著者がわざわざ気付かせてくれた?…

【書評・要約】『なぜ心はこんなに脆いのか』〜進化心理学の最新動向〜

うつ病と診断される人は日本でも年々増加しています。うつ病などの精神疾患はなぜ起こるのか、と考えてしまいます。人類が進化する過程で消えてしまっても良いかったはずです。「なぜ自然選択は、私たちを精神疾患に対して脆弱のままにしたのか」という問い…

会社で世代間の分断はなぜ起こっているのか?

最近本屋に行くと、Z世代やゆとり世代の行動や関係性の築き方を説明する本を数多く見かける。多くは若手世代の部下を持った上司世代が手にとって読んでいるのだと思う。どうやら世代間の分断によって、会社内でのトラブルが起こっているらしい。 私は30歳で…

【書評・ネタバレなし】『ザリガニの鳴くところ』〜自然描写が美しくも残酷な小説〜

ディーリア・オーエンズは野生動物学者で、『ザリガニの鳴くところ』は彼女の初の小説となります。(ノンフィクションは複数刊行) ザリガニの鳴くところ 作者:ディーリア・オーエンズ 早川書房 Amazon 本書はミステリー小説に分類されることが多く、ミステ…

【書評・要約】『働かないアリに意義がある』〜働かないアリが生き延びた理由〜

働きアリの一部は働いていない。そんな話を聞いたことがある方も多いと思います。それでは、働かないアリは何のために存在しているのでしょうか? その謎に迫った研究者が記したのが本書、『働かないアリに意義がある』です。 ヤマケイ文庫 働かないアリに意…

【書評・要約】『操られる民主主義』〜民主主義とテクノロジーの未来〜

テクノロジーによって民主主義はどのように変容するのか?本記事はそんな難題に向き合った一冊『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』の書評・要約になります。 操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会…

【書評・要約】『恐れのない組織』〜心理的安全性とは何か〜

最近、「心理的安全性」という言葉を耳にする機会が増えていませんか? 本記事は心理的安全性に関する研究の第一人者であるエイミー・C・エドモンドソン氏の著書『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』の書評・要約に…

【書評・要約】『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』~リーダーの思考法~

リーダーに必要な考え方とはどのようなものでしょうか? そんな悩みを抱えている方にお勧めの一冊があります。それが本書、『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』です。 「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方 作者…

【書評・要約】『失敗の科学』〜失敗を次に活かす〜

本記事は『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』の書評・要約になります。 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 作者:マシュー・サイド ディスカヴァー・トゥエンティワン Amazon 著者について 本書の概要 オススメしたい人 …

【書評】『つくられた格差』〜アメリカの格差と税制の分析〜

本記事は『つくられた格差~不公平税制が生んだ所得の不平等~』の書評になります。 つくられた格差~不公平税制が生んだ所得の不平等~ 作者:エマニュエル・サエズ,ガブリエル・ズックマン 光文社 Amazon 著者について 本書の概要 オススメしたい人 著者に…

【書評・要約】『シャーデンフロイデ』〜現代社会の病理の象徴〜

本記事は中野信子さんの著書『シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書)』の書評・要約になります。 シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書) 作者:中野信子 幻冬舎 Amazon 著者について 本書の概要 オススメしたい人 要…

【書評・要約】『LIMITLESS 超加速学習』〜学びを加速する〜

本記事は『LIMITLESS 超加速学習―人生を変える「学び方」の授業』の書評・要点まとめになります。 LIMITLESS 超加速学習―人生を変える「学び方」の授業 作者:ジム・クウィック 東洋経済新報社 Amazon 著者について 本書の概要 オススメし…

【書評・要約】『多様性の科学』〜複数の視点を持つ組織〜

本記事は『多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織』の書評・要点まとめになります。 多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織 作者:マシュー・サイド ディスカヴァー・トゥエンティワン Amazon 目…

【書評・要約】『1%の努力』〜頑張り過ぎなあなたへ〜

本記事はひろゆき氏の著書『1%の努力』の書評と要点まとめになります。 1%の努力 作者:ひろゆき ダイヤモンド社 Amazon 目次 本書について 本書の概要 オススメしたい人 本書の要点 変えられることは何か? 上を見たら「エッグスタンド」だと思え 優先順…

【書評】『HARD THINGS』〜CEOの苦悩と教訓〜

今回は『HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか』の書評になります。 HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか 作者:ベン ホロウィッツ 日経BP Amazon 目次 著者について 本書の内容について 本書の構成 著者が本書を…

【書評・要約】『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』~誰でもオリジナリティを発揮できる~

ここでは、アダム・グラント氏の著書『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』を書評・要約します。 ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 作者:アダム・グラント 三笠書房 Amazon 著者について 本書の概要 要約 オリジ…

【書評】『異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』【レビュー・感想】

今回は『異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』の書評です。 異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 作者:エリン・メイヤー,田岡恵 英治出版 Amazon 目次 著者について 本書の内容 概要 他国…

【書評】『後悔するイヌ、嘘をつくニワトリ』〜動物たちの知性と感情〜【感想・レビュー】

今回は『後悔するイヌ、嘘をつくニワトリ 動物たちは何を考えているのか?』の書評になります。 後悔するイヌ、嘘をつくニワトリ 動物たちは何を考えているのか? (ハヤカワ文庫NF) 作者:ペーター ヴォールレーベン 早川書房 Amazon 目次 著者について 本書…

【書評・要約】『RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる』〜専門特化は危険〜

今回は『RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる』の書評・要約をします。 RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる 作者:デイビッド・エプスタイン 日経BP Amazon 本書の著者はデイビット・エプスタイン氏。アメリカの科学ジャーナリスト…

【書評】『未来の医療年表』〜2035年にはほとんどのがんが克服可能!?〜

今回は奥真也さんが書かれた『未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと (講談社現代新書)』の書評や感想になります。 未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと (講談社現代新書) 作者:奥真也 講談社 Amazon 最近書店でよく見かける未来予測本ですが、…

【書評】『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』〜トロッコ問題は役立たず!?〜

今回は『ハーバードの人生が変わる東洋哲学: 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義』の書評です。 ハーバードの人生が変わる東洋哲学: 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作者:ピュエット,マイケル,グロス=ロー,クリ…

【書評・要約】『深い集中を取り戻せ』〜集中できることは幸福だ〜

今回は井上一鷹氏の著書『深い集中を取り戻せ――集中の超プロがたどり着いた、ハックより瞑想より大事なこと』をレビュー・要約します。著者の井上氏は集中力を図る眼鏡型のウェアラブルデバイス、JINZ MEMEの開発や事業に携わっている方です。その井上氏がJI…

【書評・要約】『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』〜お金が足りないと頭が悪くなる〜

今回は『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学 (早川書房)』のレビュー・要約をします。 いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学 (早川書房) 作者:センディル ムッライナタン,エルダー シャフィール 発売日: 2015/07/31 メディア: Kindle…

【書評・要約】『ずる―噓とごまかしの行動経済学』〜誰でもごまかしをする〜

今回はダン・アリエリー著『ずる――噓とごまかしの行動経済学』の書評をします。 ずる――噓とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作者:ダン・アリエリー 発売日: 2014/09/10 メディア: 文庫 ダン・アリエリー氏は行動経済学の第一人者。「…

【書評・要約】青砥瑞人著『BRAIN DRIVEN』②〜ストレスを味方につける〜

今回は青砥瑞人氏の著書『BRAIN DRIVEN』のレビュー・要約を行います。本書を取り上げるのは2回目になります。前回の記事もぜひご覧ください。 BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは 作者:青砥瑞人 発売日: 2020/09/25 メディア: Kindle版 本書…

【書評・要約】青砥瑞人著『4 Focus 脳が冴えわたる4つの集中』〜4種類の集中を使いこなす〜

今回は青砥瑞人氏の『4 Focus 脳が冴えわたる4つの集中』をレビュー・要約します。 4 Focus 脳が冴えわたる4つの集中 作者:青砥 瑞人 発売日: 2021/03/18 メディア: 単行本 私は過去の記事で『BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは』という青砥…

【書評・要約】『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』〜本当に悪魔だったのか?〜

今回は『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』の要約をします。 フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 (講談社現代新書) 作者:高橋昌一郎 発売日: 2021/02/17 メディア: Kindle版 コンピューターの発明者として知られるフォン・ノイマン。…

【書評・要約】『首都直下地震と南海トラフ』〜2030年代南海トラフ地震が起こる〜

残念なことに、パンデミックによって有事に対処する日本の能力の低さが露呈してしまいました。次にくる有事はなんでしょうか?その候補の一つが地震です。ですが、南海トラフ地震が来る、と言われ続けて久しいにもかかわらず未だ来ていません。もはやオオカ…

【書評・要約】『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』

ここでは『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』のレビュー・要約をします。 2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ (NewsPicksパブリッシング) 作者:ピーター・ディアマンディス,スティーブン・コトラー 発売日: 2020/12/22 メディア: Kindl…

【書評・感想】LIFE <ライフ> 人間が知らない生き方〜「漫画」×「生物学」×「ビジネス書」〜

ここでは、『LIFE <ライフ> 人間が知らない生き方』のレビューをします。 LIFE<ライフ> 人間が知らない生き方 作者:麻生羽呂,篠原かをり 発売日: 2016/11/24 メディア: Kindle版 本書は「漫画」×「生物学」×「ビジネス書」という、異色の一冊です。本書の漫…