【書評・ネタバレなし】『ザリガニの鳴くところ』〜自然描写が美しくも残酷な小説〜
ディーリア・オーエンズは野生動物学者で、『ザリガニの鳴くところ』は彼女の初の小説となります。
(ノンフィクションは複数刊行)
本書はミステリー小説に分類されることが多く、ミステリーの要素を主軸に物語が展開します。
しかし、本書の特徴は自然描写、孤独、差別、愛情、家族など、様々なテーマが複合的に描かれている点です。
特に自然描写が美しく、時に残酷で、物語に素晴らしいアクセントを与えています。
主人公は“湿地の少女“、カイア。
苦難に満ちた彼女の成長を描いた場面と、とある事件について描いた場面が交互に描かれながら物語は進んでいきます。
一つの物語の中に様々なテーマが重層的に絡み合っている小説は読み応えがあります。
ミステリーを楽しむもよし、カイアの成長譚を楽しむもよし、自然描写を楽しむもよし。
また読み返したい、と思える小説です。
ぜひご一読あれ。