【書評・感想】『ご冗談でしょう、ファインマンさん』〜天才のユーモラスなエッセイ集〜
リチャード・P・ファインマン。ノーベル物理学賞を受賞した天才物理学者です。そんな彼のエピソードを認めたのが『ご冗談でしょう,ファインマンさん 上 (岩波現代文庫)』『ご冗談でしょう,ファインマンさん 下 (岩波現代文庫)』です。
少年時代からカルフォルニア工科大学で教授時代まで、実に多くのエピソードが掲載されています。
私が特に感銘を受けたポイントを3つ紹介します。
子供の頃から好奇心の塊
ファインマンは気になったらなんでもやってしまう、鼻を突っ込んでみたくなる性格をしていたようです。それは少年時代からで、11、12歳の頃に実験室を自宅に作りました。好奇心の強さは大人になっても変わらず、イタズラをしたりしたエピソードもあります。
より効率的な方法を探すことへのこだわり
少年時代にも研究者になってからも、効率にはとてもこだわっていたようです。様々な工夫をこらすことに楽しさを見出していたのでしょう。
しかし、高校生の頃にアルバイトで働いたホテルでは改善の工夫が認められないことも多く、『ホテルの経営者みたいな「小利口」な人間には、何を言っても無駄』ということを思い知らされ、実際の世の中では刷新ということがいかに難しいかを学んだのでした。現代にも通じるエピソードですね。
過程を楽しむ
ファインマンにとっては難しい問題を考える「過程」を楽しみました。本人の口からも語られていますし、様々なエピソードを読んでいても感じ取ることができました。
ノーベル賞を受賞した研究がどのように生まれたのか、というエピソードは特に特に示唆に富んでいます。ロスアラモスでの原爆に関する研究のあと燃え尽きてしまっていたファインマンはある時に、物理で遊ぼう、という境地に至りました。そして、ぐらぐらする皿を見て遊び半分にやり始めた計算がノーベル賞を受賞する研究の発端になったそうです。楽しむことがいかに重要か、をよく表していると思います。
まとめ
本書は天才リチャード・P・ファインマンのユーモラスなエピソードを多数掲載しています。ファインマンの人柄を知ることができる話から示唆に富んだエピソードまで、幅広く掲載されています。特に下巻最後の『カーゴ・カルト・サイエンス』は研究者として非常に重要なことが述べられています。
ぜひご一読あれ。