理系研究者の書評ブログ

30代の化学系の研究者が、読んだ本の書評を書いています。

【書評・要約】『LIMITLESS 超加速学習』〜学びを加速する〜

本記事は『LIMITLESS 超加速学習―人生を変える「学び方」の授業』の書評・要点まとめになります。

著者について

本書の著者はジム・クウィック氏
記憶力の改善、脳の最適化、加速学習の分野で知られる世界的エキスパートです。
幼い頃に脳に重い障害を負いました。
学校では「学び方を学ぶ」機会が学業でたいへん苦労したそうです。

そこで著者は脳のパフォーマンスを高める手法の開発に乗り出しました。
脳のコーチング歴は20年以上になり、ハリウッドの大物からプロスポーツ選手、Googleなどの法人顧客まで、多くの人にコーチングを実施しています。

本書の概要

本書は最前線研究成果から古代の知恵まで、幅広い勉強法をまとめています。
内容はマインドセットから具体的な手法、健康の維持方法にまで至ります。
本書を読むことで、学び方に関する重要なことを一通り学ぶことができます。

また、事実を淡々の述べるタイプの本ではなく、著者が熱意を持って語りかけるような文体で書かれています。
感情的にも学びたくなる気持ちにさせられました。

オススメしたい人

勉強に困っている高校生、大学生、社会人。
読みやすいこともあり、幅広い年齢層にオススメできます。

要点まとめ

ここからは、私が特に面白いと感じたポイントをまとめます。

ポモドーロテクニック

人間の集中は10〜40分で自然と弱まってしまいます。
また、人間は最初と最後が記憶に残りやすいということも知られています。
それぞれ、初頭効果と親近効果と呼ばれています。
集中力の問題と記憶の性質を利用するのがポモドーロテクニックです。
これは25分の集中と5分の休憩を繰り返すというものです。

2時間休みなしで読書するよりも25分+5分を繰り返すことが有効なのは、休憩も重要な役割を果たすからです。
休憩を挟むことで、咀嚼したり考えたりする時間をとることができます。
そうすることで、記憶に定着しやすくなるのです。

嗅覚を活用する

嗅覚には他の感覚と異なる性質を持っています。
それは、嗅覚は感情や記憶を刺激する、というものです。

外から入ってきたにおいはまず、嗅球という、鼻の奥から脳の底部にかけて延びる組織で処理されます。
嗅球は扁桃体と海馬と直接つながっているます。
どちらも感情や記憶と関わりが深い脳の領域です。
そのため嗅覚は他の感覚よりも感情や記憶を強く刺激すると言われています。

嗅覚のこの性質を利用して、学びを効率化できます。
ペパーミントとレモンは集中力を高めます。
また、ローズマリーの香りは記憶力を改善します。
他にもリラックス効果がある香りもあります。

香りをうまく活用するだけで、学びが一層効率的になるでしょう。

読書スピードを上げるために

読書スピードを上げることで、学習はより効率化します。
読書スピードが遅い理由として、返り読みしてしまう、頭の中で音読(サブボーカライゼーション)してしまうといったが挙げられます。

返り読みを防ぐ手段として、指を使って読むことが有効です。
手を動かすスピードを徐々に上げていけば、読むスピードも上がっていきます。

サブボーカライゼーションを防ぐ手段としては、頭の中で数字を数えることが推奨されています。
1、2、3…と数字を数えながら読書をすると、頭の中で音読できなくなります。
こうしたことから慣れていき、サブボーカライゼーションを止めることができれば、読書スピードは一段と上がるでしょう。

まとめ

本書は勉強方法についてまとめられた一冊です。
章の初めに「本章の問い」があったり、ところどころに「やってみよう!」といった項があったりすることで、内容が頭にも残りやすいと感じました。

学び方を学べる、良い一冊だと思います。

是非ご一読あれ。