【書評・要約】『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』〜ストレスを味方につける方法〜
スタンフォード大学の健康心理学者、ケリー・マクゴニガル著『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』をレビュー・要約します。
現代人の大敵であるストレス。
実は、見方を変えるストレスは役に立つ場合もあるのです。
ちょっとの考え方の変化でも劇的な変化をもたらします。
本書はストレスに関する思い込みを解消し、新たな指針を示してくれる一冊です。
ここでは、ストレスに対する考え方が及ぼす影響についてまとめます。
考え方を変えるだけで、ストレスに強くなる
ここで紹介するのはストレスに対する考えからを変えるだけで健康問題が解消し、仕事の効率がアップしたという実験の結果です。
この実験はとある世界的金融機関で2008年の金融危機の最中に行われました。
なぜ金融機関かというと、金融業界に就職した人たちはなんと全員が10年以内に、不眠症・アルコール依存症・うつ病など、燃え尽き症候群と関連のある症状を最低一つは発症していた、という研究結果があるからです。
さらに2008年は金融危機によってさらに過酷な状況でした。
とある金融機関で働く388名の従業員を対象にして、介入実験が行われました。
無作為に3つのグループに分け、ストレスに関する異なる講義を聞きました。
- ありがちなストレスマネジメントのオンライン講義。
ストレスは体に悪い、ということを強調した内容。 - ストレスは味方だ、という講義。
ストレスは体の回復力・集中力を向上させて人との結びつきを強める、という内容 - 講義を受けない
なんと、2の講義を受けたグループの従業員は不安症やうつ病の症状があまりみられなくなりました。
また、腰痛や不眠症などの健康問題も減っていました。
一方で、集中力や仕事の生産性などには向上がみられました。
彼らのストレス環境が改善されたわけではありません。
1や3のグループにはなんの変化も見られませんでした。
このように、短期間の介入が、人々のストレスについての考え方や受け止め方に長期的な変化をもたらす可能性があるのです。
人生が変わる「マインドセット効果」
マインドセットとは、自分の中の思い込みのことです。
マインドセットがストレスを始め、人生に大きな影響を及ぼします。
例えば、年齢を重ねることを最もポジティブに捉えていた人たちは、心臓発作のリスクが80%も低かった、という結果があります。
また、日々の仕事がいい運動になる、と伝えられたホテルの客室係は体重と体脂肪が減少し、血圧も低下したそうです。それも、自分の仕事が以前よりも好きになる、というおまけ付きです。
このように、「二つの効果が想定される場合、その人がどう思っているかによって、どちらの効果が表れるか決まる」と考えられています。
このような思い込みの効果は「マインドセット効果」と呼ばれています。
これはプラセボ効果よりも強力で、プラセボ効果が短期的に特定の効果のみをもたらすのに対し、
マインドセット効果の及ぶかには雪だるま式に増大し、威力を増しながら長期的な影響ももたらします。
まとめ
考え方を変えるだけで、人生がこれほどまでに好転するとは、かなり衝撃的です。
本書の中でも、マインドセット介入の問題は話がうますぎて信じ難いこと、と述べられています。
マインドセット効果以外の本書の内容はレジリエンスの高め方、ストレスに対する体の反応、ストレスが多い国ほど繁栄度も高い理由などがあります。
目から鱗が落ちるようなトピックも多いです。
ぜひご一読あれ。