理系研究者の書評ブログ

30代の化学系の研究者が、読んだ本の書評を書いています。

ユングから見たフロイトとアドラー

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カール・ユングジークムント・フロイトとアルフレッド・アドラー

三名とも著名ですが、彼らはともに精神について分析していました。

 

ユングフロイトアドラーと共に働いていました。

ある患者の病歴について議論しているとき、

ユングフロイトアドラーとでは異なる見方をすることに気づきました。

そして、2人は正反対に近い理論を展開していました。

 

ユングフロイトは外交的な人」と捉えていました。

フロイトの理論の多くは大勢の同僚との文通や議論とともに展開しました。

フロイトは、心理学の目標は外の現実世界において充足を見出すことだと考えていたのです。

 

一方、ユングアドラーは内向的な人」だと捉えていました。

アドラーの理論と関心は、人の思いや感情へ向けられていました。

アドラーの理論は内面的苦闘に基づいているのです。

 

彼らは意見の相違からそれぞれ別の道を歩きました。

フロイトは内向性を不健全なものと捉える方向に進んでしまいました。

(この風潮は今も残っています)

 

ユングは自身の理論をさらに発展させ、

極端な内向型と極端な外交型を繋ぐ連続体のどこかに人は位置すると推測しました。

 

ユングは気質の違いによって、一番力を発揮できる“居場所“が異なると考えました。

本来の“居場所”が異なる場所での活動は有害で、

個人の生得的な性質を侵し、ある種の精神病の原因になるとさえ考えていました。

 

一方でユングは、内向型と外向型の連続体の上を移動することも可能だと指摘しています。

学習によって可能になるのです。

しかしそれは聞き手でない方の手で文字を書くようなもの、

普段以上の努力と集中力を要します。

できない事はないが、余分にエネルギーを消費してしまうと考えていました。

 

今、ユングの考え方は脳科学の観点から明らかになろうとしています。

内向型と外向型の違いを脳科学的見地からまとめた記事もご覧ください。

 

dadada-business.hatenablog.com

 

今回はユングから見たフロイトアドラーについてまとめました。

参考文献は『内向型を強みにする』です。 

内向型を強みにする

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