イノベーションが起きる組織作り~山口周著『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』~
山口周著『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』
本書で述べられているのは組織論です。
組織づくり、リーダーシップ、モチベーション、意思決定について論じられています。
日本企業からイノベーションが生まれない本質的な理由は、
「個人の創造性」の問題ではなく「組織の創造性」の問題である。
表面的な「仕組み」を盲目的にコピーしても意味がない。
就業ルールやオフィス環境といった組織のハード要因と、
リーダーシップやコンピテンシーといった組織のソフト要因に絡めて形成できるかどうかが大切だと筆者は述べています。
1.イノベーションを起こすのは誰か?
イノベーションは「新参者」から生まれやすいです。
これまでに誰も考えたことがない新しい要素の組み合わせがイノベーションの源泉です。
「最もイノベーティブな企業」に共通して見られる特徴のひとつは「多様性の重視」です。
人と異なる考え方/感じ方をどれだけ組織成員ができるか、
そして考えたこと/感じたことをどれだけオープンに話せるかという問題です。
すなわち、「意見の多様性」です。
2.必要なリーダーシップのとり方は?
意見の多様性を実現するには、
部下に意見を促し、それに対して真摯に耳を傾けるリーダーが必要です。
この「聞き耳のリーダーシップ」を発揮している程度は、
組織成員のモチベーションやコミットメントと強い相関があります。
3.モチベーションを維持するには?
報酬を与えること、「予告された報酬」によって、
創造的に問題を解決する能力は向上するどころか、むしろ低下してしまいます。
多くの経営者が勘違いしていることです。
心理学の世界では1970年代から知られている事実です。
イノベーティブな人材を集め、彼らを動機付けするためには、
インセンティブやボーナスなどの報酬システムに工夫を重ねるよりも、
挑戦的でやりがいのあるビジョンを与え、
思いきりその実現を追求できる環境を与えてやることが重要です。
4.どのように意思決定を行うか?
イノベーションの「目利き」として、アイデアを持っている人と、
アイデアによって利益を得る人とを結びつけるネットワークの密度が、非常に重要です。
組織内における情報流通の質と量を高めようと考えた場合、
組織内の「密度」と同時に、組織の外に向かった「広さ」にも目を配ることが必要です。
また、イノベーションを促進しようと考えるのであれば、過度にコンセンサスを重視せず、
リーダーがトップダウンで意思決定する必要があります。
5.直感を信じる
「それは何の役に立つの?」というアイデアは、資金供給を得られないことが多い。
しかし、巨大なイノベーションの多くは「何となく、これはすごい気がする」という
直観に導かれて実現しているのだということを、決して忘れてはなりません。